2015年9月29日火曜日

テンヨー2016新製品 『不思議なドッグハウス』

『不思議なドッグハウス』 1,800円(税別)
考案:佐藤総

「マジック3 子犬の色変わり」

赤・青・橙・黄の4色の子犬スポンジから1匹を相手に選んでもらい、残りの3匹を白いケースの各部屋に入れてフタをします。

相手が選んだ色の子犬スポンジでケースにおまじないをかけます。

フタを開けると、3匹の子犬スポンジの色がすべて相手の選んだ色に変化してしまいます。

これが商品パッケージにも紹介されている現象ですが、とても不思議で見た目にも色鮮やかな楽しいマジックです。



他にも子犬がフタをするたびにいつの間にか部屋を移動している「マジック1 子犬はどの部屋?」や、子犬が1匹から2匹そして3匹に増え、最後は3匹とも消えてしまう「マジック2 子犬の分身術」が解説されています。

秘密の仕掛けはとてもシンプルですが、かなり面白い構造になっていて工夫次第で様々な現象を起こすことができます。私は出現→移動→増殖→消失の流れで現象が起こるルーティンを考えましたが、仕事の合間に演じることが多いため演技時間は約2分程度しかありません。仕方なくまとまりのよい移動現象の部分だけを演じていますが、これだけでも見た人はかなり喜んでくれますし、特に小学生以下の子供たちへのウケの良さは抜群です♪

私の演出ではケースを縦に使い、これは子犬のマンションだと説明します。子犬スポンジを1匹取り出し、この子犬は高い場所から見る風景が大好きなので、いつも3階の部屋に行きたがります。と言い、下の部屋に入れて扉(フタ)を閉めますが、おまじないをかけるといつの間にか3階の部屋にいるという移動現象です。1階ずつ上がったり、2階をすっ飛ばしたりして何度も一番上に上がってきます。それぞれの部屋の間にはしっかりとした板があります。最後はフタを閉めずに手で叩くだけで一瞬で3階に上がってしまいます。

百聞は一見にしかずですので久しぶりに動画を撮ってみました。iPhone撮影で映像も粗くロクに編集もしていない手抜き動画ですが、説明書にはない自分なりのハンドリングも考えましたので、購入した人はその点も含めて楽しんでいただければ幸いです。


2015年9月28日月曜日

テンヨー2016新製品 『フューチャーパズル』

『フューチャーパズル』 1,200円(税別)
考案:佐藤総

マジシャンは赤いケースを取り出しテーブルの上に置きます。

ケースのフタには透明な窓があり、中を覗くとジグソーパズルのピースが見えます。

相手にトランプの絵札の中で好きな1枚を自由に選んで言ってもらい、忘れないようにメモ用紙に書いておきます。

ケースを取り上げ、ゆっくりとフタをはずし、中のピースを1枚取り上げ、「最初に覗いて見てもらいましたが、中に入っているのはこのようなピースです。一見普通のジグソーパズルのように見えるでしょう?」と、その1枚をテーブルの上に置きます。


ケースをさかさまにして中にあるピースをバラバラとすべてテーブルの上に落とします。

ケースもフタも空っぽです。

手にも何も持っていません。

テーブルのピースを一旦すべてウラ向きにして、ピースが6枚あることを示します。

ピースを表向きにしながら組み立てていくと、なんと相手が選んだ絵札と同じ絵が完成しているのです。

「YOU WILL CHOOSE ME!」
(あなたは私を選ぶ)
めちゃくちゃ不思議なマジックです。

現象説明のところでは好きな絵札から選んでもらうようになっていますが、考案者である佐藤総さんが使っている52枚すべてのトランプから選んでもらう方法も解説されています。

仕掛け、セリフ、ハンドリングなど手順そのものがとても練り込まれているのでハッキリ言って変更点や手を加えるところが見当たりません。

せいぜい好みに合わせて演出を少し変更できるくらいでしょうか。下手に弄るとたちまち改悪になってしまうほどの完成度の高さだと思います。



私がごくわずかながら唯一変えたところは完成したパズルの見せ方です。すべてウラ向きのままで相手にパズルを組み立ててもらい、一気に表返すようにしています。この見せ方は個人的な好みなのですが、こちらの方がいくつかある秘密のひとつに対して、より気づかれにくいような気がしています。

2015年9月27日日曜日

テンヨー2016新製品 『魔法のプランジャー』

『魔法のプランジャー』 2,000円(税別)
考案:マシュー・ビシュ
プレゼンテーション:ジョン・アームストロング

中には排水管が詰まった時に使うプランジャーと呼ばれる吸盤のミニチュアと、USプレイングカード社製BICYCLEが1組。そして写真では見せていませんが秘密の仕掛けが1つ入っています。

BICYCLEはケースのデザインが新しくなってから、裁断が雑でケバケバしているとか、使っているとすぐ反り返ってくるなどマニアの間で不評でしたが、これはその前のケースデザインで質の良い方のカードです。

そして吸盤にはちゃんと「Tenyo」のロゴが刻印されています。この辺のこだわりが嬉しいですねぇ♪

反対側には「JAPAN」と入っています。

「第1弾 カードが連続して吸いつく!」
カードを1枚テーブルの上に置き、プランジャーを押し当ててから持ち上げ、カードが吸い上げられることを見せます。これは当然のことで不思議でもなんでもありません。しかし、今度はカードを何枚かテーブルに並べ、端の方からプランジャーを押し付け隣に重ねていくと、カードが次から次へと吸い上げられていくのです。

見ていても楽しいのですが、演じている方はもっと楽しい現象です。吸い上げる感覚がとても心地良いので病みつきになってしまいます。


「第2弾 相手の言った枚数が吸いつく!」
相手に10枚くらいまでの数を言ってもらいます。プランジャーに向かってその枚数を言い、1組のカードの上に押し当ててから持ち上げると複数枚のカードが吸い上げられます。そのカードを公明正大に1枚ずつ数えると観客が自由に言った枚数ピッタリなのです。

難しい技術を使わずに初心者でも演じられる方法が解説されています。もちろん技法を使えば枚数の自由度は高くなるのですが、私は1回目に限るなら何も怪しいことをしていないこちらの方法が好みです。また続けて演じる場合も、集めかたを工夫すれば技法を使わず予備動作もなく演じられますよね。これ以上は言いませんのでお察しください(笑)


「第3弾 相手の選んだカードを当てる!」
1組のカードを広げ、相手に好きな1枚を選んでもらいます。1組の中へ返してもらったらよく混ぜて揃え、テーブルの上に置きます。プランジャーに向かって選んだカードのマークと数字を小声で囁いてもらい、1組のカードの上に押し当て吸い上げると、残った山の一番上に相手の選んだカードが現れるのです。

いよいよクライマックスです。難しい技術を使うことなくこんなに不思議で本格的なマジックが演じられるのですから本当に良い作品だと思います。あえて注意すべきことがあるとすれば演出の方でしょうか。面白い演出としてプランジャーを相手のおでこにくっつけてしまうというのがありますが、時と場所と相手をよく考えて行うようにしましょう。少なくとも自分以外の誰かを笑いものにするような演出は避けなくてはいけません。説明書にも「相手を選んで行うようにしてください。」と書かれています。特に女性の場合は一定時間で消えるとはいえしばらく吸盤の跡がつきますし、メイクも崩れてしまうのでやらない方が無難です。カードに手をかざしてもらって、その手の平にくっつけるというのも良いかもしれません。

それと秘密の仕掛けについてですが、これは非常に便利なモノでして、このプランジャーを使ったマジックだけでなく他のカードマジックでも役に立ちます。つまり最初に仕掛けを利用した他のカードマジックを演じた後にポケットからプランジャーを取り出して演じてもよいのです。ただし、プランジャーと似たような現象のマジックは演じない方が良いでしょう。上手に使えば全体的に不思議さが増すはずです。仕掛けは見ただけではまずバレませんので、かなり使い勝手が良いと思います。


で、余談なんですが…

このプランジャー、吸盤部分をひっくり返すとキノコに見えません?

いや、それだけです(笑)

ポケットから出すときはこの状態で出してちょっとしたジョークに使ったりしてます♪

2015年9月24日木曜日

テンヨー2016新製品 『ゴーストカメラ』

『ゴーストカメラ』 1,800円(税別)
考案:マシュー・ビシュ


「マジック1・トランプが現れる!」
1組のトランプから相手に1枚を選んでもらいます。覚えたら元に戻し、しっかり混ぜてトランプ全体をハンカチで覆います。観客のデジタルカメラやスマートフォンのカメラを使ってハンカチ越しにトランプを撮影すると、写真に選んだカードが現れます。

この記事を書いている時点で新製品はそれぞれ50回以上演じましたが、子供から大人まで幅広い年齢層に最も人気があったのが、このゴーストカメラでした。最近は小学生くらいの子供でもカメラ機能のついたスマートフォンやゲーム機を持っているので、あり得ないモノが写真に現れるという不思議さが理解しやすいようです。写真を持ち帰れるというのも魅力的ですね。
カードが浮かび上がる様子は写真の通りです。
ご覧のように手やモノが上にあっても関係なく写ります。
一体コレどうなっているのでしょう?不思議ですよねぇ。

浮かび上がるカードは何のカードか判別できさえすればよいので、邪魔にならない範囲で観客にハンカチの上で手をかざしてもらったり、雰囲気のある小物を置いた方が心霊写真のような雰囲気が出て良いかもしれません。

私は演出上、写真のゴーストの人形を使って演じています。
この人形はテンヨーとは関係ありませんが、ゴーストペットのパッケージに描かれている幽霊にソックリなので、ゴーストハウスやゴーストパズルなどのテンヨーゴーストシリーズを演じる時に大変重宝しています。

もうすぐハロウィーンの季節なので、今年もまた大活躍してくれそうです♪

他にも「マジック2・好きなフルーツを当てる!」といった相手の好きな食べ物や行きたい場所など、自由に書いたものを当てるマジックや、「マジック3・選んだコインを当てる!」というハンカチの下で相手が選んだコインをまったく見ずに当てるマジックが解説されており、この2つのマジックはカードではなく不気味な手が現れて指を差して教えてくれます。
特にコインを当てるマジックはとてもフェアで不思議です。
ハンカチを使う理由も自然ですし、解決法がとても賢いです。
さすが鈴木徹さんと感心する素晴らしい応用法でした。

また、この方法だとハンカチ1枚と小銭を持っているだけでいつでもどこでも簡単に演じられるのがいいですね。

2016新製品の中で最も演じる機会が多くなりそうな気がします♪

2015年9月14日月曜日

第57回テンヨーマジックフェスティバル


2015年9月6日(日)、三越劇場で開催されるテンヨーマジックフェスティバルに参加するため東京まで行って参りました。東京は高校の修学旅行以来なのでほとんど記憶に無く、初めてと言っても過言ではありません。開場まで時間があったので東京駅から完全におのぼりさん状態でウロウロしていました(笑)


日本橋の欄干にある有名な麒麟のブロンズ像


ギリシャ・ローマ風の重厚な雰囲気を醸し出す三井本館

ぶらぶらしていると突然のゲリラ豪雨に見舞われ近くのお店で雨宿り。開場時間が迫ってきていたので雨が小降りになったところを見計らって、あわてて三越本店の正面玄関に駆け込むと、有名なライオン像がなぜかサイバーな雰囲気になっていました(笑)なにかのイベントに合わせた演出のようですが、なかなかカッコイイ。

エレベーターで6階に上がり三越劇場へ。すると入口付近で立っていらっしゃったのが、大阪在住の頃に大変お世話になり、現在は羽田国際空港ターミナルビル5階にある博品館のテンヨーショップでディーラーをされている清水一正さん。5年ぶりの再会に感激しながら握手とあいさつを交わし、少しお話ししてから一緒に劇場の中へ。いよいよショーが始まります。


チェリー
鳩出しがメインの華やかな正統派ステージ・マジシャン。3年前くらいに手品家広島店で2度ほど演技を拝見したことがありますが、最初に1羽目の鳩が出現した瞬間に以前とは比べ物にならないほどパワーアップしているのがわかりました。その鮮やかさは客席全体から「おおっ」とどよめきが聞こえたほど。次から次へと出現する鳩、カード、シルク、そしてクライマックスと見事なオープニングでした。


菰原裕(こもはら ゆう)
東大奇術愛好会所属の学生マジシャン。紙コップとボールを使ったコメディタッチの演技でした。紙コップからボールが出現したりまた消えたり、紙コップとボールの色が連動して次々と変化したりと、目新しさも手伝ってとても楽しめました。ただ私の座席が後方だったことや道具が小さめだったこともあって、いくつか現象がわかりにくかったり「ん?」と思うような箇所があり、そこが少し残念といえば残念でした。


五十嵐暁人(いからし あきと)
2014年におこなわれた第13回ジュニアマジシャンビデオコンテストのグランプリ受賞者。毎年テンヨーが主催している全国のマジックファン(17歳まで)がビデオで参加できるコンテストです。リンク先で受賞者の映像が観れますので是非どうぞ。大舞台に臆さずカード・マニピュレーションやリンキング・リングを丁寧に演じていたのが印象的でした。その堂々とした雰囲気にホントに14歳?と感心するとともに今後の更なる成長を思うと末恐ろしくなります。


池田洋介(いけだ ようすけ)
パントマイマー、ジャグラー、演出家、そしてなんと数学教師の顔も持つ異色のパフォーマー。今回の出演者の中で、以前からなんとかして生で演技を拝見したいと思っていた2人の内の1人です。やっと念願が叶いました。しかも前半と後半の2回も観れるという贅沢さ。前半は『Digit』というジャグリング用のシガーボックスをデジタル数字に見立てた作品。そして後半は名作『Hello Goodbye』。池田さんの独創性高い作品には知的なパズル要素だけでなく、ピタゴラ装置のようなドキドキワクワク感があり一時も目が離せません。全員が一体となって手拍子を打ち、心地良いフィニッシュを迎えると会場には割れんばかりの拍手が鳴り響きました。


DAIKI(ダイキ)
2005年のジュニアマジシャンビデオコンテストのグランプリ受賞者で、現在はプロのイリュージョニストとして活躍中。いきなり空っぽの檻から女性が出現したり、柱の上に固定された箱にマジシャンが入り、女性が布を広げると一瞬で入れ替わるという本格イリュージョンは間近で観るとやはり格好良くて迫力があります。ここから少しお話しが始まるのですが、先ほどの演技で息が切れているのか元々滑舌があまり良くないのか、話が聞き取りづらかったのが少し残念なところ。花を使ったマジックの後は、スリルのある水中脱出。まさかここで水中脱出を観れるとは思っていなかったのでそういう意味でも驚きました(笑)


HORRET WU(ホレット・ウー)
2015年のFISM世界大会カードマジック部門1位受賞者。左右に設置された巨大モニター画面にステージ中央のテーブルが映し出され、その向こうに銀髪の男性が腰掛けます。袋に入ったジャンボカードをケースから取り出すといつの間にかケースがレギュラーサイズに。4枚のKを探していたのにいつの間にかAに変化したり移動したり小さくなったり…この辺はもう「あれ?あれ?」と次から次へと起こる不思議な現象を追うので精一杯でした。「これカメラトリックじゃないよね?」と思いながらモニターとテーブルを交互に見て「あ、やっぱり同じだ」と…(笑)あとジャンボカードであんなフラリッシュ的な扱いってできるものなんですね。最後はすべてのカードがレギュラーサイズになり、ケースの中へ収納されました。あれ?袋も小さくなってる…もうどうでもいいや(笑)


LUKAS(ルーカス)
2012年と2015年のFISM世界大会マニピュレーション部門2位受賞者。池田洋介さんと同じく、生で演技を拝見したいと思っていた1人です。前評判通り、いやそれ以上の凄さでした。ひとつひとつの現象が非常にゆっくり且つ丁寧で、それでいてめちゃくちゃ不思議なんです。本当に消えてるし出現してるし変化してるんです(見てない人は何言ってるかわかんないと思いますが…)。しかも三越劇場ってステージと観客席の距離が近いので、前列左右端っこ辺りの席からはかなり横の角度からマジシャンは見られることになるのですが、そこで見ていた知人も怪しいところは全く見えなかったと仰っていました。それって凄いことですよね。彼の演技が魔法と称される理由がよくわかりました。いやあ眼福、眼福、大満足です♪


全体を通して本当に素晴らしいショーでした。
チケットは抽選なので誰でもというわけではありませんが、これほどのショーが日本国内でしかも格安の3,000円で楽しめるのですから応募しない手はないと思います。
来年はみんなで応募しましょう!(ハッ!競争率を上げてしまった!)

2015年4月16日木曜日

エリック・ミード クロースアップマジック

『エリック・ミード クロースアップマジック』

エリック・ミード(Eric Mead)という名前を聞いてパッと顔が思い浮かぶ人は少ないかもしれませんが、2009年にTEDでプラシーボ(偽薬)効果に関する講演をして話題になったマジシャンと言うと、思い出す人がいるかもしれません。
日本語字幕もついていますので、リンク先で是非ご覧ください。
知的なだけでなくユーモアも兼ね備えた素敵な人物だとわかります。
あ、多少刺激的なシーンが含まれていますので、針とか血が苦手な人は閲覧注意です。


さて、著者の人物像が少し得られたところで、この本で解説されている素晴らしい作品のいくつかを簡単に紹介してみたいと思います。

バー・フライト(Bar-Flight)--くだけた状況で
3枚の同じコインを観客から借ります。
握ったコインがいつの間にか1枚ずつ紙ナプキンの下などに飛行し、
最後は3枚が一度に消え、まったくあり得ない場所から出現します。

この作品はマジックショーのルーティンに組み込むよりも、レストランやバーなどのリラックスした状況で何かマジックを見せて欲しいとリクエストされた時に最大の効果を発揮します。
ですので、私はあらかじめ用意しているハーフダラーなどを取り出したりせず、観客から500円玉を3枚借りて演技を始めるようにしています。
解説通りに正しく演じてみると、演技に入るまでの導入、更にそれ以前の準備が如何に大事か、そしてそれらの周到な策略が見事にハマった時の効果がどれほど絶大なものかがハッキリ理解できると思います。
私は機会があれば必ず演じていますが、毎回クライマックスは観客から驚嘆の声が上がっています。



治安紊乱行為(Disorderly Conduct)
--メモライズド・デックが持つ、それに関する順列と混沌さの錯覚

ジャズの楽譜とお気に入りのフレーズ(Jazz Chart & Favorite Licks)
--説明できないトリック

この2つは作品の解説というよりもテーマに沿って書かれた論文といった感じですが、手当たり次第に100の作品を覚えるよりも、この2つを読んで実践する方が遥かに有意義で価値があると思える内容です。

「治安紊乱行為」は「ちあんびんらんこうい」と読み、意味は社会の風紀・秩序を乱すこと。
はい、正直に告白します…私は最初この漢字が読めずに「なんじゃあ、こりゃあ!?」と腹を撃たれて殉職した某刑事のような声を出しました。
「(辞書を)引きたくねぇ…引きたくねえよ…。」と言いながら必死で調べたのです。(何を言っているのか分からないあなたは、まだ若者です。若いって素晴らしい!)
ここにはメモライズド・デックを使ったすべてのマジックに通じる真髄が書かれています。
簡単に説明すると、メモライズド・デックの秩序を保ちつつも観客には混沌状態であるかのように錯覚させる実践的な方法を解説してくれているのです。
ホァン・タマリッツのネモニカやアロンソンなどメモライズド・デックを使用している、或いは使ってみたいと思っているマジシャンにとっては必読です。

もうひとつは副題の「説明できないトリック」と聞いてピンときた人もいるのではないでしょうか?
名著『ダイ・ヴァーノンズ・モア・インナー・シークレッツ・オブ・カードマジック』(1960年、ルイス・ギャンスン著)に解説されている同名作品(原題はTrick That  Cannot Be Explained)を更に高度に使いこなすための具体的な方法や考え方が解説されています。
エキヴォック(Equivoque)の本来の姿とは、初心者が使う単純な言葉遊びのような特定の技術ではなく、マジシャンにとって奇跡を手繰り寄せるための究極のスタイルであるという考え方は、私にとって目からウロコが落ちるには充分過ぎる衝撃でした。
演じているマジシャン本人ですら結末が読めない壮大で複雑なエキヴォックを、ジャズの即興演奏に例えて分かりやすくまとめてくれているので、以前ヴァーノンの本を読んで「言いたいことは大体分かるけど、こんなの難しくてとても無理だ…orz」と挫折した人ほど一読の価値があると思います。



ひとっ飛び(Puddle Jumper)--古典的なリミックス
デックから15枚のカードを抜き出し、観客に1枚選んで覚えてもらいます。
よく混ぜたあと、3つのワイングラスを取り出し、5枚ずつ数えながら入れます。
観客は数える時にカードの表を見ているので、
どのグラスに選んだカードが入っているのか分かっています。
マジシャンは選んだカードが入っているグラスがどれかを聞き、魔法をかけます。
するといつの間にか隣のグラスのカードが1枚増えて、元のグラスのカードは1枚減っており、
表を調べてみると確かにそこにあった選んだカードが無くなっています。
再び魔法をかけると更に隣のグラスのカードが1枚増えて、
先ほどのグラスからは選んだカードが見当たりません。
観客に選んだカードが何かを尋ねた後、最後のグラスにそのカードが表向きに出現します。

レギュラー・カードを使ったマジックなのに、100人の観客の前でも演じられるとても華やかな作品です。
エース・ゴーラムのカード・アクロスを出発点として長年の間に多くの改良を加え、もはや原型をとどめないほどになった結果が、マルローのトラベリング・カードと被っていたというマジシャンあるあるなエピソードに同情を禁じ得ず涙しながらも、著者が自負している100人のステージでも演じられるほどの見栄えの良さは、やはり魅力的です。
この作品で使う特殊な技法は、ステージングにおいてとても重要な役割を担っており、実際に演じてみるとその絶大な効果が実感できるはずです。
100人とまではいかなくても10人以上の観客の前でマジックを演じる機会が多い人にとっては覚えておいて損の無いテクニックだと思います。


他にも「はい、鳥を見て!(Watch the Birdie)」「52・オン・ワン・トゥー・ワン(Fifty-two on One to One)」「子供たちが杖をついて歩くとき(When Children Walk with Cane)」「1つにつなぐ(Tie on One)」などキッズショーでも大ウケ間違いなし(実際私も演じています。超ウケます。)の作品や、「3ピース・コンボ(Three-Piece Combo)」のようにかっこいいカードテクニックのデモンストレーション作品や、「縁起のいい出来事(An Auspicious Occasion)」のような本格メンタリズムまで多種多様な作品が解説されていますので、必ずどれか演じてみたくなる作品が見つかるはずです。
私は7作品(収録作品の半分!)が既にレパートリーに入っていますが、1冊の本でこれほど驚異的な数の作品がレパートリーに入るなどということは今までありませんでした。
例え優秀な作品であっても、私の雰囲気に合わなかったりすることがあるからです。
でも、エリック・ミードさんと私はマジックの相性が良いようです。
皆さんはどうでしょうか?


この本の良さは作品だけではありません。
いや寧ろ、これから何度も何度も読み返すことが多いのは、きっとエッセイの部分でしょう。
プロとしての長年の実績から得られた、マジックとは直接関係は無さそうに感じられるけど、だからこそ重要なノウハウや、そのベースとなっているマジックに対する考え方に触れることができます。
それは著者からの読者に対する(そして自分自身に対する)問いかけ、言ってみれば哲学です。
この本の原題は帯にも書かれている通り、『Tangled Web』です。
これは、イギリスの詩人ウォルター・スコットのマルミオンという詩の中に出てくる

Oh! what a tangled web we weave. When first we practice to deceive!」
(人を騙そうとする時、我々はなんと複雑な織物を紡ぐことだろう。)

という有名な一節から取ったものであると聞いていますが、非常に意味深な言葉です。
著者であるエリック・ミードさんは、マジシャンであるが故の苦悩(そしてその先にある喜び)をこの本に強くこめたのかもしれません。
この本が、背表紙が見えないほど私の本棚の奥深くまで追いやられることは、きっとないでしょう。


2014年10月8日水曜日

リンキング・リング(シンフォニータイプ)ケース

複数の金属の輪がまるで溶け合うように繋がったり離れたりするリンキング・リング・・・あの不思議な輝きと澄んだ音色には見た人を強く惹きつける魅力があります。長い歴史の中でいまだに多くのマジシャンに演じ続けられている事実がそれを証明しています。

今回はテンヨーで発売されている『リンキングリング(シンフォニータイプ)』・・・の持ち運びにピッタリのケースを紹介します。

リンキング・リングには大きさや本数によって無数の手順が存在しますが、なかでもシンフォニータイプは多くのマジシャンから敬意をもってプロフェッサーと呼ばれていたアメリカのマジシャン、ダイ・バーノンが演じていた『リングのシンフォニー(Symphony of the Rings)』の手順を演じることが出来るように構成された独特な6本組リングのことを言います。


リングの直径は26cm(ほぼ10インチ)でバーノンが使用していたものと同サイズ。太めの美しいメッキ仕上げで舞台映えしますし、パイプ構造なので比較的軽く扱えます。(でも、6本持つとやはりズッシリきます。要、筋トレ!)

解説書は上の動画の手順とは違いますが、カズ・カタヤマさんが初めての人でも覚えやすくアレンジして、わかりやすいイラストで詳細に解説してくれています。これをマスターすれば動画のオリジナル手順も大体理解できるかと思います。オリジナル手順をきっちり学びたいという人は、洋書ですがコチラのをオススメします。

私は大阪梅田にある阪急百貨店のテンヨーショップで購入したのですが、そこで40年以上(!)の経歴を持つ伝説のディーラー、清水一正さんの手順解説DVDを付けて貰いました。これが長年洗練されたプロフェッショナルならではの素晴らしい手順なのです。現在、清水さんは博品館 TOY PARK 羽田空港店でディーラーをされていますが、そこではシンフォニータイプは販売されていません。でも入手方法はありますのでご安心ください。これはエントリーの最後で説明します。

さて、ここからが本題です。このテンヨーの『リンキングリング(シンフォニータイプ)』。4年くらい前まではリングを収納して持ち運べるレザー製のケースが付属していましたが最近は付いていません。私は清水さんが昔使っていたケースを譲っていただき、有難く大切に使っていたのですが、ウン十年の経年劣化には勝てず、ある日修復不可能なほどの大きな穴が開いてしまいました・・・(泣)

それからしばらくは布袋に入れて持ち運んでいましたが、最近ピッタリのケースを見つけました。私のようにケースが傷んでしまった人や、これからシンフォニータイプを購入する人には、このケースがオススメです。インターネットで検索すればすぐに見つかると思いますが、あまり大量生産されていないようなので欲しい人は早めにポチってください。

パンデイロバッグ(3600円)

以前から10インチや8インチのリングの持ち運びにはタンバリンの楽器ケースが良いと聞いて探していたのですが、生地が薄くて頼りなかったり、デザインが気に入らなかったりとなかなかコレという物がありませんでした。そんな時、偶然見つけたのがこのパンデイロ(ブラジルのタンバリン)用のバッグ。10インチ用なので大きさはピッタリですし、楽器を保護するために全面に緩衝剤が入ってしっかりしています。ベルトの取り付け部分がプラスチックでなく金具というところもポイント高し。フタ側にもうひとつファスナーがあり、大きな収納ポケットになっています。

開けたところ。
フタの裏側にも半円のポケットがあり、小物が収納できるようになっています。

裏面にはネーム・プレート。

手に提げるとこんな感じ。

ね、イイでしょ?全体的に無地で、特に目立つロゴやデザインが入っていないところが気に入っています。まあ、この辺りは個人的な好みになりますけど・・・。まるでリングにあつらえたようなピッタリ感。これでストレスなくスムーズに持ち運びができます♪バンザーイ!ヽ(*´∀`)ノ